2021.03.31 UP

中年男子が佐賀県全20市町をぶらぶら歩く連載の最終回。最後の力を振り絞って吉野ヶ里を散策する

ルールは

      • 公共交通機関で現地まで移動
      • 歩く距離はだいたい5km
      • 2021年3月末までに全20市町を散歩する
      • 美味しいものをきちんと紹介する
      • お酒はほどほどなら大丈夫!
      • 基本はぶっつけ本番。面白いものに当たるまで歩くべし
      • 旬の風景を探そう

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広円橋を渡った先には古い欄干があった。反射材の土台として再利用されていた。残りの3つも車止めとして置かれている。存在感ありすぎて、もはやアート作品。長崎街道は土手に沿って左に曲がる。

立派な町家があった。屋根の棟にある鬼瓦がアシンメトリーなのはデザインなのが、左半分が落っこちたのか。

さらに歩くと街道より一段上がったところに田手神社があった。社殿の脇を通る。鳥居の額には「大神宮」と書かれている。横から見ると大町編の福母八幡宮と同じ、「切妻屋根・平入」が2棟連結している八幡造なのだが、奥の社殿の屋根の形が違う。棟のところに×の形の装飾があるのだ。これは「千木」と呼ばれるもので神明造の特徴のひとつ。神明造の代表は伊勢神宮なので「大神宮」と書かれた額と合わせて考えると伊勢神宮と関係のある神様が祀られているのではないか。境内に上がればすぐに分かることだが、脚もキツなってきたので正直石段を上りたくない。素人推理でお茶を濁す。

 

 

 

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街道が右手に曲がる。古い商家の屋根が気になった。瓦屋根にしては一体感がありすぎて違和感あり。近づいて確認。ちょっとゴージャスな波板を葺いていることが分かった、さらによく見るとFRPみたいな質感だ。こういう仕上げは初めて見た。

商家の向かいには煉瓦の倉庫があった。回り込んだらと天井部分が落ちていた。

その道の先にはこれまた珍しい3重のアンダーパス。写真では分かり難いけど、国道と長崎本線2本が縦に並んでいる。

あれっ、もう国道なの! じゃ吉野ヶ里町に入ったんじゃない? グーグルマップを確認したら広円橋を渡った地点が町境だった。頭の中に流れていた「回って回って回って回るぅうううー」のリピートがようやく終了。sagatocoで歩数を確認したら8141歩。町境からここまでの距離は800m。歩数に直して1176歩を引くと6959歩。 神埼編では約5.3km歩いた計算になる。自転車で移動した分はきちんとカウントされていない気がする。そりゃそうだ。

 

 

 

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気を取り直し散歩再開。道幅が広くなり自動車の交通量増える。長崎街道らしさは隠れている。

公共建築らしい建物のきれいな螺旋階段。この時代の建築は細部に力が込もっている。

吉野ヶ里町三田川庁舎の敷地に郷土の偉人銅像。三池信さんと江口伊四郎さん。三池さんは元郵政大臣。昭和24年(1949)年、衆議院議員に初当選し以後、当選12回。郷土の道路河川改修や土地基盤整備、企業誘致などに尽力した。江口さんは昭和25年(1950)年、旧三田川村長に初当選以来、25年に渡り首長として郷土の発展に貢献した。

点在している農地ではスズメが群れをなしてチュンチュンさえずっていた。そういえば最近、スズメ見ないなと思い、カメラを向けると逃げる。ツンデレかっ!!

写真では分かり難いが、「オリンピック」というお店があった。左が理容室、右は美容室。なんとなくタイムリーかなと思い撮ってみました。

 

 

 

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井柳川をわたったところに古い門柱が1本だけ残されていた。戦前、大刀洗陸軍飛行学校目達原教育隊があったという。映画「月光の夏」の舞台でもある。

 

 

 

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本戦橋交差点の三差路を左に行く。大きな屋根の家。塀は瓦葺き。建物の下屋の壁や戸袋の一部、一階の屋根を支える装飾された部材が赤く塗られていた。

 

 

 

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街道は目達原駐屯地に突き当たる。道端のチューリップも花盛り。駐屯地の桜並木はそろそろ見納めか。入口には弥生時代風の建物。受付所かな。

 

 

 

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横断歩道があったが、あえて遠回りして歩道橋に上る。国道34号線と長崎街道がクロスしているのが分かる。道と道が重なる場所には街ができる。

 

 

 

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歩道橋を下りたら目達原商店街。街灯に謎のシンボル。道路の両側に建物はたくさんあるのだが営業中のものは少ない。ところどころ空き地になっていて、大好物である建物の痕跡を見ることができる。

 

 

 

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通りからは細い路地が何本も伸びていて、飲み屋の看板がちらほら見える。そのうちの1本の奥に大きな建物を見つけた。

どうも映画館ぽい。近づいてみよう。1階部分の両脇のアール壁が印象的。右側のアール部分は外壁が取れていている。中は竹が横打ちされていた。下地が竹ということは木造か。左官さんの腕の見せどころである。建物を横から見たら、奥の方は日本的な三角屋根だった。いわゆる看板建築というやつだった。

路地から大通りに戻ったところにあった美容室で話を聞くと、やはり映画館だった。美容室のお客さん「私が越してきた50年前には、もうやってなかったよ。それから倉庫みたいにして使われているみたい」。

 

 

 

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長崎街道が右に折れる辻に火の見櫓があった。これもあんまり見かけない。一番下の段に貼られた鉄板がズボンのように見えて愛らしい。櫓の横には小さな公園があり、その先には祇園社が鎮座していた。

櫓の向かいの薬局には鍾馗さんの鏝絵が飾ってあった。魔よけの効験があるとされ、京都の町家の屋根の上には鍾馗像が飾られている。シーサーのような役割か。

 

 

 

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今回、一番楽しみにしていたのが、みやき・上峰編取材の帰り道に見た木造3階建ての建物。櫓の前を曲がったところにあった気がしていたのだが、見当たらない。最近出来たような空き地があったが、敷地はもうちょっと広かった気がする。前回の取材で撮影した写真を調べたら、建物の横にあった壁が一致。取り壊されていたと分かった。建物がなくなると敷地は狭く感じるな。

家財道具は運び出してあったし、竹でつっかえ棒をしてあったし、そろそろ撤去されそうではあったが残念。一度じっくり見学したかった。

 

 

 

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街道の角にあった建物。白塗装と複雑な屋根の構成がただものではない雰囲気だ。裏庭は広く、石が無造作に置かれているようで、なんとなく調和がとれている。イサム・ノグチのアトリエと似ているというと言い過ぎか…。

 

 

 

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結局、昼から一杯飲めそうな店は見つからなかったので、商店街に戻りパン屋さんへ。酒のつまみになりそうなピザトーストをチョイス。

 

 

 

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吉野ヶ里公園駅まで歩く。国道沿いの居酒屋は定休日。途中、三田川ホルモンで「極上和牛アキレス」と「国産ホルモン」のアヒージョ缶詰を購入。最後の祈りを込めて駅前のお店を物色する。オシャレそうなカフェがあったがこれも開いていなかった。最後は美味しいお酒を飲んで終わりたかったが仕方ない。とぼとぼと吉野ヶ里駅から帰る。

吉野ヶ里編は9060歩。約6.9km歩いた。1日の合計は12.2km。ようやくコツを掴んだと思ったら最終回である。

 

 

 

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自宅に戻り戦利品で晩酌。缶詰は湯せん。沸騰したら火を止めて鍋の中に放り込むだけ。5分たったら取り出す。「極上和牛アキレス」は柔らかくなっているが、食感が程よく残っていて美味しい。「国産ホルモン」にはハチノス(胃袋)と小腸が入っている。どちらも辛くてビールが進む。

ピザトーストにはトマト、ソーセージ、ピーマン、玉ねぎ、コーンがトッピングされていた。トマトのフレッシュさが残っているのがポイント。カリっとしたパンの耳はアヒージョにつけて楽しむ。最後はアヒージョの残りでペペロンチーノ。オリーブオイルに負けないように塩を効かせたら美味しかった。

 

▼取材終了後、筆者と担当Mさんとの会話

担当M「なんとか終わりましたね」

筆者「最後は取材した後、そのまま徹夜でした。体力は持って良かったです」

担当M「全市町歩いた感想は?」

筆者「ほとんどの町で昼から飲めるのが分かりました。飲食店がない町はお惣菜を売る店が充実していたり。取材中飲めなかった場合も運悪く店が定休日だったり、休憩中だったり、お惣菜が売り切れだったりしただけなので。」

担当M「ところで体重はどうなったんですか?」

筆者「去年の年末は2kgくらい減ったんですが、コロナで非常事態宣言が出た時期にリバウンド…。その後の追い込みもあまり効果なく、最終的にはなんとか当初の体重に戻った感じです」

担当M「ちょっと昼酒をメインにしすぎたかもしれません」

筆者「あれだけビール飲んだら痩せないでしょうね…」

 

 

 

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