歩くことについて、 歩いたり、考えたり、いろいろやってみるマガジン あるこ。vol.01

「歩く」とは、足を動かして前に進むこと。移動すること。だそう。これはみんながしっている「歩く」の意味だと思う。それが転じて「これまで歩んできた人生」みたいな感じで使う事もある。小学生の頃どきどきしながらもらっていた通知表も「あゆみ」という名前だった。足を動かして進むことが元となり、なにかが進むことにも使われている。
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だけど、車は「歩く」ではなく「走る」。今日を「駆け抜けた」とは言うけど「歩いた」とは言わない。進むにしても、速いものには使われないような気がする。どちらかというとゆっくりじっくり。みたいな感じの事に使うのかもしれない。
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「歩く」ことは、あまりに身近すぎて日々改めて考えたりする事はほとんどないけど、こうやってちょっと調べたり、考えたりするだけで、へぇーって思ったり、なるほどなぁと思う事がある。当たり前すぎるけど、だからこそ奥が深くておもしろい事なのかもしれない。そうではないかもしれない。それはこれから探っていきたいと思う。
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私も生まれてから、1歳になる頃には歩けるようになって、それからの歩き歴は30年を超える。30年といえばいっぱしの熟練になっていてもよさそうな年月だと思う。だけど私は歩くという事についてなんとなく習得して以来、必要だから「歩いて」は来たけど、深く考えたことはこれまでほとんどなく、なんということだろう、ほぼ初心者のようなものである。でも落ち込まない。これから知ったり考えたりしたらいい。こんなに身近にまだ知らない事があるのは嬉しい。
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実際に歩いてみたり、考えたり、調べたりしながら初心者から見習いくらいになれたらいいなと思う。そんな感じで歩くことについて、歩いたり、考えたり、いろいろやってみるマガジン

その6 白石編 ”りゅうおうじょう”で佐賀平野を見下ろす

中年男子が佐賀県全20市町をぶらぶら歩く連載の6回目は白石町を歩く。

ルールは

      • 公共交通機関で現地まで移動
      •  歩く距離はだいたい5km
      • 2021年3月末までに全20市町を散歩する
      • 美味しいものをきちんと紹介する
      • お酒はほどほどなら大丈夫!
      • 基本はぶっつけ本番。面白いものに当たるまで歩くべし
      • 旬の風景を探そう

白石町に行くなら肥前竜王駅は外せない。ドラクエ世代にとって”りゅうおう”は避けては通れないのだ。今回は肥前白石駅から肥前竜王駅を”攻略”する。

 

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まずは肥前白石駅。駅の横には「りんりん公園」があり、こけしのような石のモニュメントが2つ並んでいる。片方の胴体には町章が貼られており、もう片方には「歌垣 あられふる 杵島が岳を 峻しみと 草とりかねて 妹が手をとる」という歌が刻まれている。後日ネットで調べたところ、

 

愛する男女が駆け落ちをして杵島山へと逃避行したが、山があまりにも険しかったので、草にしがみつこうとしたが彼女の手を取ってしまったというものであり、男が周りの女性たちを歌に誘い込むための誘い歌(笑わせ歌)であったと思われる。國學院大学デジタルミュージアムから引用

 

との記載があった。2体の間は金属製のバーで繋がれている。結構シュールだ。

 

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とりあえず肥前竜王駅方向に向かう。県道36号沿いを数分歩くと、精肉店の看板が眼に入った。南北に長そうな商店街のようだ。車移動だと見逃してしまう佇まい。陶器屋さんや定食屋さんがある。平日の午前中なのに人通りもそこそこ。1ブロック行ったところに魅力的な手描き看板を発見!!

 

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「おいしい うおかつ」 どんなカツなんだろう? 店内に入ってみる。店の中心にはお母さんが座っていて、お客さんとお話していた。その横には惣菜各種。魚フライやきんぴらゴボウなど美味しそう。「うおかつ」が魚のカツであるなら、それらしきものはあるのだが、どれかは断定できない。お母さんに聞いてみる。
「『うおかつ』ってどれですか?」
「ここの惣菜全部ですよ」
「えっ、うおかつってカツがあるんじゃないんですか?」
「カツの名前? いや、この惣菜は『うおかつ』さんが作っているのを置いてるの」
「うおかつ」は商品名ではなく店名だったのか! なかなかの勘違いだ。冷静に考えれば、「カツ=肉のフライ」なので、魚のカツなど存在する訳がない…。せっかくなので、お母さんおすすめのハムポテフライを1つ購入。丸っとした形が熟練の技を感じさせる。しかもすごくリーズナブル。

 

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歴史ある商店街のようで、存在感のある面構えのお店が多い。それを眺めるだけで楽しい。ぶらぶらと歩いているとある看板が眼に飛び込んできた。「魚勝」!!

 

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このお店のことだったのか。中に入るとお惣菜のワンダーランド!!!!! 店内はたくさんのお客さんがいて、会計待ちの列ができている。その最後尾に並びながら何を買うか思案。煮物系に惹かれるが持ち歩きに問題がありそうなので泣く泣く断念。フライ系に集中。コロッケや唐揚げも捨てがたいが、やはり鮮魚店なので魚系をチョイス。あまり聞いたことがないカマスフライとキビナの唐揚げに決めた。さあ昼ごはんの主役が決まった。続いて通りをちょっと行ったところにあった酒屋さんでビールを購入。あとは至福の時をどこで過ごすかだ。このまま南下すれば肥前竜王駅に行けるのだが、商店街を抜けると食事できる場所は少なそうな気がする。加えてルールにある

      •  旬の風景を探そう

が難問。このまま市街地を歩いても出会う可能性は低いかも。こういうときはインスタだ。#歩こう佐賀県 で検索すると「縫ノ池」というスポットが出てきた。池の汀に大きな樹があり、季節感がありそう。場所は杵島山の山裾あたり。結構遠回りになるけど、行ってみるか!

 

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長崎本線を跨いで杵島山方向へ。ここからは大体の方向を見ながらドラクエウォークに導かれるまま田園地帯を進む。

 

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歩くと分かるのが、ここで作られている作物の多彩さと働く人の多さ。どの畑にも人がいて、せっせと手入れをしている。車で通り過ぎると見過ごしてしまいがちだが、そういう営みが私達の生活を支えてくれている。
レアなモンスターを探すという寄道をしながら1時間くらい。だいぶん山裾に近づくと、土蔵造りの民家が並ぶ通りが現れた。

 

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通りを右に折れると、生垣がきれいな集落が。ということは城下町なのか?

 

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さらに進むと「須古寿し」の看板が。せっかくなので食べてみたいのだが、どうもお店をやっている雰囲気がない。入口付近でまごまごしていたら、散歩中の地元のお母さんが声をかけてくれ、お店?の方に取り次いでくれた。店頭販売はなく、町内のスーパーなどで売っているという。残念だが仕方ない。
なんとなくお母さんと一緒に歩く。この辺りは須古という地区で、昔は須古城があり、龍造寺家が支配していたという話を聞く。龍造寺の城ということはリアル「竜王城」じゃん! ということで、お城まで案内してもらう。小学校の前にある立派な石垣で立ち止まるお母さん。「昔は背の高さくらいあったけど道路の嵩上げでこんなに低くなった」と話す。校庭の先は小高い丘になっていて赤いのぼりがたなびいている。そこが目指す「りゅうおうじょう」とのこと。お母さんにお礼を言って別れる。

 

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せっかくなのでドラクエウォークのイベント目的地を「須古城跡」に設定。いざ攻略開始!!

 

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いきなりの急坂をなんとか登りきり、赤いのぼりがある方面への道と、「主郭」と書かれた案内がある道との分岐点に。とりあえず「主郭」を目指す。井戸跡などの遺構を見ながら外周を巡る。小学校側のほぼ反対まで行ったところで登り口の案内。ゴツゴツの岩が重なる崖。しかも群集した竹の一部が倒れてさらに分かりづらい。登れるような道はどこ? よーく眼を凝らすと竹でできた手すりが設置されている。これを伝っていけば良いのか!! 城なんでハイキング気分で登れると問題があるわけだが、地元の人たちであろう、整備してくれた人のおかげでこんな思いつきの散歩が気軽に楽しめるのだ。感謝。
急斜面を登ると主郭に到着。謎の石積みがドーンとある。ここでドラクエウォークのイベントもクリア。縁に行くと佐賀平野が見渡せた。ここでランチでも良いのだが、先ほどの赤いのぼりの場所の方が眺めは良さそうなので、そちらに向かう。

 

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下りは舗装された道があってスムーズ。というか、こっちから登れば楽だったのに…。まあお城攻略感はあったので良しとしよう。先ほどの分岐地点に戻り、のぼりの方へ。細い道の小学校側は絶壁。反対側は空堀になっている。これはなかなかの名城だな。「須古城」と書かれた赤いのぼりは、物見台的な場所に立っていた。佐賀平野が一望。これなら遠くにいる敵の姿も丸わかり。やはり名城。

 

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さて昼餉にするとしよう。ベンチに座ってビールをごくり。疲れた体に沁みる。そして魚勝のフライ。「勝」って漢字が良いな。カマスフライは上品な味わい。丸まった姿が愛おしい。そしてキビナの唐揚げが最高!! 甘めの衣が、キビナの苦味とベストマッチ。さらにビールを注ぎ込めば、最高の昼間酒!!! まさに戦国武将気分。

 

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充分に英気を養ったところで、城を下りる。目指す縫ノ池はさらに南だ。山際に沿って進む。時々、須古城方面を振り返る。改めて見ると、佐賀平野に浮かぶ島のような立地だ。しばらくすると「縫ノ池入口」という案内板が現れ、高い木が見えてくる。途中、お寺の良い石段があったが今回も断念。さらに行くと池が現れる。

 

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水面に映る冬枯れのメタセコイア。まさに季節を映す景色だ。取り急ぎ撮影。ここは「縫殿池弁財天」と言われ、ここにある神社は「厳島神社」。広島の宮島と同じく平清盛と関係があるそうで、この辺りは平安末期に平家の領地だったらしい。佐賀平野の西の中心地だったということか。
メタセコイアに近づく。こんこんと水が湧き出していた。顔を洗うと気持ち良い。「金妙水」とよばれる名水なのだが、昭和30年の初めから、飲料水や農業用水を確保するために地下水を過剰に汲み上げたため、40年間にわたり湧き水が止まっていたという。地下水汲み上げをなくしたことで復活。現在のような美しい景観を取り戻した。「インスタ映え」スポットは偶然できたのではなく、地元の人たちを中心にした努力によって守られていることを実感した。

さあミッションコンプリートということで、あとは肥前竜王駅を目指すのみ。歩きながらずっと気になっていたのは民家の入口にある謎の機械。

 

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なにかの通信機のようだが、これはなんだろう? 知っている方がいたら インスタアカウント burabura_saga まで連絡を!!

 

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ひたすら農村地帯を歩くこと30分。川べりに歩道があった。車止めが岡本太郎チックな味わい。なかなか味わい深い。ここで時間を確認。肥前竜王駅発の列車まで残り20分ほど。グーグルマップで調べると、ここから23分ほど掛かると出た。この列車を逃すと大分待たなくてはいけない。ここまで結構歩いてきたが、最後の力を振り絞って速歩きに務める。黙々と進むこと10分、長崎本線が見えてきた。線路の下をくぐったところで、予定時間と残り時間が一致。なんとかなりそうだ!!

 

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国道207号線に出て、ほぼ駆け足で駅に向かう。駅前に到着したところで残り3分。ロータリーには餅つきをする彫像があった。題材もさることながら、リアリアズムな表現がシュール。感心している場合ではない。駅舎へ急ぐ。なんとか間に合った。到着後 数分で列車到着。まじで危なかった。HPとMPギリギリでクエストクリア!!
本日の散歩は17760歩。約13kmの行程でした。最後本当にしんどかった…。ちなみに肥前竜王駅の名称は旧地名「竜王村」に由来しており、元々は「龍王崎」という地名から来ているとのこと。同地には「龍王崎古今の森公園」があり、約20基の古墳があるという。また、全国には「竜王駅」がもうひとつ山梨県甲斐市にあるそうです。いつかそこにも行ってみたい。

【おまけ】いい感じののらフォント↓

 

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▼取材終了後、筆者と担当Mさんとの会話
担当M「ドラクエやっていない人にとってはよく分からないんじゃないんでしょうか?」
筆者「えっ、そう言われると…」
担当M「まあ、ドラクエだけという訳ではないですし、街歩きが面白そうなのでいいんですけどね」
筆者「商店街とか良い雰囲気でした! 魚勝さんにはまた行きたいですっ」
担当M「結局、なぜ『竜王』という名前になったか分からなかったですね。せっかくなので龍王崎まで行っても良かったのでは」
筆者「…列車の時間もあったし、駅から結構距離もあったので、ちょっと今回は無理かと。タイミングを見て追加取材してみます」
担当M「まだまだ行っていない市町もあるので、そちらが終わったら是非お願いします」

 

 次回も乞うご期待!?

歩くことについて、歩いたり、考えたり、いろいろやってみるマガジン あるこ。vol.02

すきま時間ちょっと散歩/多布施川河畔公園編

歩くことについて、いろいろやってみることになりわくわくしつつも、はて、なにからやろうかなぁ…とぼんやり考えていたここ数日。午前の仕事が思ったより早く終わったので、思い立って、iPhoneでグーグルマップを開いて近くでちょっと歩けそうなところを探してみると、「多布施川河畔公園」というスポットが目に止まる。存在さえ知らなかったけどとりあえず向かってみることに。

 

場所は多布施川沿い、大和ジャスコのちょっと西側あたり。公園の中に「長瀬天満宮」という小さなお宮があるよう。鳥居の隣に樹齢200年の立派なイチョウの木。かっこいい。秋になったら綺麗なんだろうなぁ。でも新緑の感じも素敵だなぁと見上げつつ、鳥居をくぐると年季の入った遊具。小学校の頃すごく好きだったぶら下がってぐるぐる回る遊具があった。久しぶりに見て嬉しくなる。

 

 

かわいい小さな橋と小さな門をくぐると奥に社殿があって、両脇には肥前狛犬。肥前狛犬は佐賀西部を中心に見られる特有の狛犬で、まるっとしててこわくなくて、シンプルな形で個人的にはとても好きな狛犬。ここの狛犬も風雨で削られまるっとなめらか。かわいいー。社殿は窓もなくてほぼ外。古いけど掃除はきちんとしてあって、奥には近所の人が供えているんだろうなぁと思う生花。地域でちゃんと管理されている感じがして静かだけど人と神社が一緒にまだまだ生きている感じがして暖かくて気持ちのよい空気。天井を見上げると消えかかってはいるものの、絵馬。調べてみたら96枚あるみたい。よく見ると人とか動物とか描いてあっておもしろい。

 

天満宮という事は、まつられているのは菅原道真さんのはず。とりあえずはじめましてのご挨拶と秋に受ける資格試験の勉強頑張れますように。(頑張れるかどうかは自分次第では)とお祈り。

小さくて優しい空気の天満宮を後にして、隣を流れる多布施川沿いを歩きます。
多布施川って小さくて両脇に歩道が通っていて、街路樹がずっとあって、いつも車で通りながら気持ちいいなぁいつか歩いてみたいなぁと思っていた。そう。お恥ずかしながら多布施川沿いをゆっくり歩くのは本当に久しぶり。そしてここははじめて。

天気が良くて太陽が眩しかったけど歩道は木陰になっていて、風も少し抜けてとっても気持ちがよい。川沿い散歩って…気持ちいいんだなぁ…。
こんな遊歩道整備してあるのに歩いた事なかったのもったいなかったなー。と思いながらのんびり歩く。この時期は野草の花たちもたくさんかわいいのが咲いていてさらに景色が気持ちいい。

 

ちょうどよいところに橋があったので渡って対岸を戻る。
所用時間は10〜20分くらいだった。短時間でなんという満足度だろう。お休みの日に山とかに出かけて行ってピクニックするくらいのリフレッシュ感。歩いてお腹も空いたからお昼も美味しいぞー。午後めっちゃ頑張れそう。

 


思い立ってやってみた
すきま時間ちょっと散歩。少しの時間なのにとっても気持ちよく、午前の慌ただしさを一旦リセットでき、かつお金はかからない。コスパいいなぁ…笑。ともあれ最高でした。
皆さんも、ちょっとすきま時間出来たなぁという時は散歩してみるというのもよいかもです。

その7 太良編 有明海で海鳥と遊ぶ そして牡蠣!!

中年男子が佐賀県全20市町をぶらぶら歩く連載の7回目は太良町を歩く。
ルールは

      • 公共交通機関で現地まで移動
      •  歩く距離はだいたい5km
      • 2021年3月末までに全20市町を散歩する
      • 美味しいものをきちんと紹介する
      • お酒はほどほどなら大丈夫!
      • 基本はぶっつけ本番。面白いものに当たるまで歩くべし
      • 旬の風景を探そう

 

早朝、最寄り駅に用事があり、思いついて太良町へ向かう。車窓から見える有明海がまぶしい。

 

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通学生でいっぱいだった車内も、多良駅で全員下車して、残るのは自分ひとりとなった。ところで町名は「太良」なのに駅名は「多良」なのはなんでだろう? 町のホームページには

昭和28年に町政を布いて多良村が多良町に変わり、昭和30年大浦村と合併して太良町となりました。

と記載されている。「大」浦と多「良」が一緒になったのなら「大良」で良さそうなのだが、画数の問題なのだろうか? それはともかく、多良駅が開業したのは1934年(昭和9年)4月16日。「太良」という地名ができる前に存在していたので、駅名は変わらず「多良駅」のまま、ということか。

 

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終点・肥前大浦駅に到着。せっかくなので海辺の道をぐるっと歩く。郷土愛あふれるカレンダーが掲示された駅舎を出て、国道207号を鹿島方面へ進む。駅の裏山に行きたいので線路わきの道をテクテクと。ぱっと見た感じ踏切ないけど、どうやったら線路を越えられるのかな? と思っていたらアンダーパスを発見!!

 

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これは低い。身長170でギリギリ頭がつかない感じ。なかなかの洞窟感だ。歩道の端に切り取られた水路を流れる水音が”洞内”に響く。外に出て線路を見上げると、先ほどまで乗っていた列車が折り返し運行していた。

 

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道端に植えられた梅のつぼみはもうそろそろ開きそう。みかん畑の間の道をさらに登っていく。小さな峠を越えたところに茶畑が。地形にへばりつくように緑の絨毯が敷き詰められている。よく見ると茶木が丸く刈り取られている。大規模な茶園では「乗用摘採機」という人が運転しながら収穫する機械が収穫しやすいように、茶木はテーブル状に整えられる。丸い茶木は「乗用摘採機」が入らない茶畑の特徴。2人1組で小型の機械を持ちながら摘採する上に、収穫した茶葉も人力で運ばなくてはいけない。農家の人の汗が作った景観だ。

さらに道を登ると、空が広くなっていく。峠だ。

 

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登りきった先には有明海が広がる。山道を下ると大浦中学校の前に出た。敷地内には気象庁の「津波観測施設」があった。

 

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ここからいよいよ海辺の道というところなのだが、気になる交通標識発見。

 

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ごくありふれた「駐車禁止」マークなのだが、その下に「3月1日から5月31日まで」と掲示されている。その3カ月間、この辺りで一体何が行われるのか? 標識が設置されるくらい、たくさんの車が来る出来事とは何だろうか? 謎である。

 

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コンクリート製の防波堤沿いに海辺の道を進む。対岸の熊本側が霞んで見える。しばらく行くと浜が見えてきた。下りてみると小さな貝殻がたくさん積もっていた。有明海沿岸にある民家では、貝殻を燃やした材料で作る「貝灰漆喰」を壁塗りに使っていた。工場もたくさんあったらしいが、現在、専業で作っているのは大川市に1件あるのみ。左官さんに聞くと、「貝灰漆喰」は一般的な「漆喰」に比べて白味が抑えられていて眼に優しい、とのこと。サスティナブルという意味でもたくさんに知ってほしい素材だ。

 

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道に戻り、カーブを曲がると港についた。のどかな水面に漁船が浮かんでいる。歩いていて気になったのが海沿いの住宅の切妻部分にある白い板。通信関係の機械みたいなのだが何なんだろうか?

 

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さらに進む。空が青くて気持ち良い。先ほどより大きな港に到着、防波堤の先には春霞の上にぽっかり浮かぶ雲仙岳。

 

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港を散策。白目が強調された恵比寿さま。なんだかユーモラスで一緒にお酒を飲みたくなる。残念ながら自販機は見つからず。

 

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散歩再開。目の前を大きな鳥が横切る。何度も旋回を繰り返す。猛禽類のようだが名前までは分からない。

 

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そういえばずっと鳥の鳴き声がしていたな…。立ち止まって海を見ると、波間にぷかぷかと海鳥が浮かんでいた。その様子をぼんやり眺めていたら、空の上を黒い雲が飛んでいた。

 

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形を常に変えながら福岡方向から熊本方向へ。有明海沖を鳥の群れが飛んでいたのだ。ゆっくり歩いていないと出会えない光景。落ち着いて見渡すと、いろんな鳥を見つけることができる。サギやカモメやシギ。

 

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体の大きな鳥ほど高いところを飛んでいる。ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)に登録されている肥前鹿島干潟にも近く、暮らしやすい環境にあるのだろう。

鳥に心奪われつつ歩みを進める。道はここから大きく曲がっていくが、運動場の先にある防波堤がまっすぐ雲仙に伸びている。遠回りになるが、防波堤の先まで行ってみよう。

 

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一歩ごとに雲仙が大きくなる。雲仙の前で海鳥の群れが踊っている。

 

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どんどん歩いて防波堤の突先まで。雲仙の手前にある堤防では1羽の鳥が静かに佇んでいた。コンクリートの壁に腰掛け、その様子をしばらくぼーっと眺める。波の声、風のざわめき、優しい陽の光。

 

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10分くらい居ただろうか。そろそろ、と思った瞬間、鳥が飛び立った。なんだか気持ちが通じ合ったようで、言い得ぬ多幸感をもらった。

 

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防波堤を戻る。養殖いかだが波に揺れている。良い顔の恵比寿さんも。竹崎の展望台が見える。

 

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海沿いの道を離れ山手の集落を歩く。細い路地が縫いように続く。空き地に咲く花が春が近いことを教えてくれる。

集落の外れまで、大分上ってきた。丘の上に大きな石を積み上げた謎の場所があった。急な坂を登り、そこまでいってみる。

 

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そこそこ大きな石がごろっと、2mくらいの高さまで置かれている。ただの石置き場のようでもある。でも、縦長に並んだ石たちの先には、竹崎の山が見えて、全体の軸線が通っている。奈良・明日香の石舞台古墳のようだし、20世紀を代表する彫刻家イサム・ノグチの作品のようでもある。なかなか良い風景だ。

興奮が治まり、冷静に足元を見ると、植物の種がいっぱい付いていた…。これどっかで取らないと。お腹も空いたし、国道207号に戻りつつ、最初に出会ったお店に入ろう。

謎の岩群の前の坂を下り、ぶつかった大きな道をテクテク進む。まったく民家がない。不安を抱えながら歩くこと10分弱。目の前に蟹の絵が現れた!! どうやら牡蠣焼き小屋のようだ。

 

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店内の水槽には、いろんな産地の牡蠣並んでいた。「かきは産地も様々です!」とのことだが、ここは地元竹崎かきを選ぼう。ひとつの籠に1kg。ひとり分としては多い気がしたが、結構歩いて来たし、これくらい入るだろう。焼く場所は、屋内と屋外バンガローが選べた。せっかくなので見晴らしが良さそうな屋外へ。

 

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バンガローの煉瓦で組まれた焼台の熱源はガス。網の上に牡蠣を乗せる。煙も少なく快適だ。数分でポーンと口が開く。少し我慢して、左手につけた軍手で牡蠣を持ち中身を出す。ぶりっぷり!!

 

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旨味が強い。特に貝柱に凝縮。たまらずビールを流し込む。例年、牡蠣小屋には行っているが、いつもは車なのでノンアルしか飲めない。やっぱりビールがベストマッチだ。調子に乗って蟹飯と蟹味噌汁も追加。こちらも超おすすめです。

満足しつつ店内で会計をしつつ、壁を見るとサインが貼ってある。「たけし軍団」の上に「布袋寅泰」。通なところに来てるなー。

 

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すっかり膨れたお腹をさすりつつ、店の前の道を進む。15分ほど歩くと長崎本線の踏切。

 

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さて、この先どうしよう? 肥前大浦駅に戻るか、長崎県境を目指すか。しばらく悩んだ後、県境へ向かう。コミュニティバスもあるみたいだし、キツかったら、それに乗ればよいし。

 

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国道207号を南下する。点在する牡蠣小屋の手描き看板が良い感じ。20分ほど歩くと下り坂の先に雲仙が見えてきた。近くに「有明海の湯」という看板があった。後で入ろう。

 

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さらに進むとコンビニがあった。「太良県界店」。「県界」で「けんざかい」と読むようだ。「県境」ではなく「県界」なのはなぜだろう? と疑問を抱えつつ道を行くと、店のすぐ先に大きな橋があった。川が県境になっているケースもあるので、この辺りかな、と思っていたが、それを表す表示的なものはない。もっと先かな? と思っていると、橋の上に「路面凍結注意」と書かれた看板。下に「長崎県」と書かれていた。

目的地に着いたことだし、さっきの温泉に行って帰ろう。来た道を引き返す。最寄りのバス停を見つけたので帰りの時刻をチェック。なんとコミュニティバスは試験運行中で、この日は運休だった…。ここから肥前大浦駅まで2kmくらい。ちょっとキツイなー。風呂上がりに汗かきたくないし。まあお風呂に入って考えよう。

 

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「有明海の湯」到着。フロントで駅までの交通手段を聞くが、やはりバスはない。タクシーは呼べるとのことなので、電話番号を教えてもらい連絡、1時間後に予約する。
安心したところでお風呂でゆっくりする。露天風呂からは、悠然と佇む雲仙を愉しめた。

風呂から上がり、すでに待っていたタクシーに乗り肥前大浦駅へ。あっという間に到着。今回は13868歩で約10kmくらい歩いた。
肥前山口駅行きの列車に乗る。そういえば湯上がりの一杯がなかったな…。鹿島取材で見つけた肥前浜駅の日本酒バーはもうできているはず。ちょっと立ち寄ってみるか。

 

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肥前浜駅で下りて「HAMA BAR」へ。鹿島市内6蔵元の日本酒が置いてある。飲み比べセットは「大吟醸」「純米吟醸」「純米」などランク別。各蔵のお酒が3盃ずつ愉しめる。
1本後の列車に乗ればゆっくり楽しめるのだが、次の用事に間に合わない。路線バスを利用すれば、なんとか10分くらい滞在できそう。ということで、1盃だけ頂くことに。先日の鹿島取材でお世話になった矢野酒造の蔵心をチョイス。おつまみは海苔セット。海苔は焼海苔、味海苔、塩海苔の3種を食べ比べるという趣向。やや甘めの飲み口に、海苔の塩っぱさがベストマッチ。今度はゆっくり過ごしたい。

 

▼取材終了後、筆者と担当Mさんとの会話
担当M「ずいぶん間が空きましたね」
筆者「…緊急事態宣言中に取材するのはどうかな、と思いまして」
担当M「それはそうでしょうが、取材から文章にするのに時間がかかり過ぎてないですか?」
筆者「実際に歩いて見ると、面白いものが多すぎて、やっぱりどうしても文章量が多くなってしまうんですよ…」
担当M「20市町の半分も行っていませんね」
筆者「次からは適切な文章量を心がけつつ、1日2市町取材するようにします!!」
担当M「本当に出来るのかなぁ?」

 次回も乞うご期待!?

その8 みやき編 煉瓦を愛でながら行く野辺の道

中年男子が佐賀県全20市町をぶらぶら歩く連載の8回目は初の県東部を2町連続して攻めます。まずはみやき町編。ルールは

      • 公共交通機関で現地まで移動
      • 歩く距離はだいたい5km
      • 2021年3月末までに全20市町を散歩する
      • 美味しいものをきちんと紹介する
      • お酒はほどほどなら大丈夫!
      • 基本はぶっつけ本番。面白いものに当たるまで歩くべし
      • 旬の風景を探そう

久留米の所用があったので、帰るついでに県東部の2町を散歩することに。西鉄バスの目達原行に乗り、「千栗八幡宮前」で降りる。千栗八幡宮とは

「鎮西要略」によれば「神亀元年(724年)肥前国養父郡の郡司壬生春成が八幡大神の御神託を蒙(こうむ)って千根(ちこん)の栗が生えている地に創祀した」と伝えられています。

なぜ「千栗」と書いて「ちりく」と読むかというと、壬生春成が千栗山に猟をしに行くと、八幡大菩薩の使いである一羽の白い鳩が飛んできて弓の先に止まりました。その晩、白髪の翁が丸い盆に千個の栗を盛って枕元に授け、「この地に八幡神を祀れ」という夢を見ました。翌日、再び千栗山に猟に行くと、何と逆さに植わった千個の栗から栗の木が一夜のうちに生い茂っていたことから「くり」を逆さにして、「ちりく」というようになったとの言い伝えがあります。
承平年間(931年〜938年)に宇佐八幡宮の別宮になり、以来、五所別宮(大分八幡・千栗八幡・藤崎八幡・新田八幡・鹿児島神宮)の一と称せられ朝廷からも厚く崇敬を受けていました。
慶長14年(1609)には後陽成天皇より「肥前国総廟一宮鎮守千栗八幡大菩薩」の勅頼を賜りました。
中世以降は肥前国一の宮と呼ばれています。
みやき町観光情報「みやきsanpo」より引用

 

 

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バス停の裏には川が流れていて、河原に木の鳥居があった。昔は川から参拝する人たちがいたのだろうか。道を渡って石段を見上げる。なかなかの急傾斜だ。わきにあった石碑に注目。

 

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「栄光への石段」。1992年、バルセロナオリンピック柔道男子71kg級金メダリスト”平成の三四郎”古賀稔彦さんは、この石段を「わが師」と仰ぎ心身を鍛えたのか。これは心して登らねば。ゆっくり行っても半分を超えたあたりから足がプルプルする。何度も上り下りを繰り返す初老の男性に抜かれつつ、146段の石段を上り終える。

 

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境内の展望所からは、筑後平野が見渡せた。久留米からバスで来た道がまっすぐ伸びている。先には高良山が見える。そういえば高良大社も「筑後国一之宮」と称している。肥前と筑後の「一之宮」がこんなに近接しているのは何か理由があるのだろうか? 境内を散策した後、本殿の裏の道から西方面へ歩き出す。

 

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清涼感のある竹林を抜けると静かな住宅街に。煉瓦造りの小屋、というには小さすぎるものがあった。いったん通り過ぎたが、気になり確認すると中にはポンプが設置してあった。もっと簡単に覆う方法はいくらでもありそうだが、住んでいる人の景観への意識を感じずにはいられない。

 

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道は微妙な高低差をゆるやかに蛇行しながら伸びていく。地形に寄り添う様子から、はるか昔から人々が往来していたものと推察される。こういう道は飽きがこない。どうやら県道22号の1本北側の道を行っているようだ。途中、ブラタモリに出てきそうな暗渠入口を発見。これも煉瓦造り。

 

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住宅の庭にある梅も満開。きれいに手入れされているお家が多く歩いていて楽しい。辻には立派な建物が。全面道路のかさ上げっぷりを見るに、随分前からあるようだ。いろんな素材で作られた建物を「混構造」と呼ぶのだが、途中発見した倉庫は土壁、下地の竹、木の柱、トタンそして煉瓦と5つの素材を使っている。それぞれが用いられた時代は異なっている。素材の歴史が分かる壁面だ。

 

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古い道の脇には水路があるケースが多く、住宅へのアクセスのため「プライベート橋」がある。この通りには8つあった。だいたいコンクリート製なのだが、あ厚みはバラバラ。結構、薄いものがあったが、これは自動車を使わないからだろう。道端には謎の石が奉られていたり、いろいろと面白い。

 

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住宅街からだんだん農村地帯へ。分岐に来たら極力細い道を選ぶ。辻々には印象的な樹木だったり、小屋がある。

 

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小さな川に差し掛かったら鳥居があった。気になり土手を進むと「下宮」との扁額だけが置いてあった。どうやら千栗八幡宮の下宮らしい。ここでも川との関係が気になった。気持ち良い川べりでしばし休憩。

 

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川を上り対岸へ。西海岸のようなお庭を愉しみながら、川にある堰に行く。小さな枝があった。上流から流されてここに留まっているのか、誰かが置いたのか。誰かが置いたとしたら、きっと困っていた小人を助けるためなのだろう。…ちょっと妄想入ってきだしたので反省。

 

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これまた素敵な壁発見。つい小さな道を進んでしまう。表面がぼろぼろの壁は、煉瓦ではなく、モルタルのブロックを積み重ねたもの。しっかり焼き締めた煉瓦と比べて柔らかいため風化しやすい。その肌合いが逆に美しい。ブロックの骨材として製鉄の際に出る屑(鉱滓=こうさい)を使ったものは北部九州で広く使用されていて、県内でも良く見かける。良い壁に誘われて小道を行くが、丘に突き当たり行き止まりに。道を引き返し、先ほどの丘の突端の前に差し掛かると…

 

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東尾地蔵菩薩堂があった。境内の縁起によると、ここは「隈の墓」と呼ばれる場所だったとのこと。ひょっとしたら古墳だったのかもしれない。お堂の下にはなぜか「南極の石」が置いてあった。いろいろ気になる場所だ。

 

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道なりに歩くと、再び小高い丘があり「龍王神社」があった。この道は山裾を伝っていて、それぞれの「岬」のような場所に神社があるようだ。ちょっと先に行くと天吹酒造があった。手軽に持ち運べそうな「日下無双」の純米スパークリングを購入。宮本武蔵の父親とされる新免無二が足利義昭から賜った称号「日下無双」と杜氏・日下信次さんの名字を掛けているネーミング。蔵の人によれば、辛口とのこと。これに何を合わせようか? 近くにはお店はなさそう。ネットで調べたところ、みやき町で育てられている「神バナナ」商品が、この近くにある町役場で販売されているという。さっそく行ってみる。
「神バナナ」とは、みやき町で栽培されている「皮ごと食べられるバナナ」。今回はジェラートをチョイス。辛口の日本酒に合いそうだ。次はどこで味わうか。アイスとスパークリング日本酒なので、なるべく近くで休憩したい。

 

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といいながら、ついつい目についた銅像に引き寄せられてしまう。役場前にあった。「木下十四三」という旧北茂安村長や衆議院議員を歴任した方らしい。「十四三」って何と読むのでしょうか? ちなみに役場内には市村記念体育館を寄贈したことで佐賀県民ならお馴染みのリコー創業者の市村清の銅像があった。
気を取り直して、休憩場所を探しつつ、県道の1本北の道を進む。と、そこに素晴らしい煉瓦建築を発見!

 

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何といっても、角のアール部分。最上部の装飾的な煉瓦の並べ方や基礎の石組みも素晴らしい。これまで県内でみた煉瓦造小屋の中で最高峰。壁に映る木の影に物語が始まりそう。もはやロンドンとか、そういう趣だ。興奮して、おもわず玄関で声を掛けるが、残念ながら不在の模様。あわよくばここで煉瓦壁を愛でながら、お酒を味わいたかったが仕方ない。後ろ髪を引かれながら先へ行く。

 

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しばらく行くと川が流れていた。きれいに芝刈りされた土手があった。ぽかぽか陽気だし、ここでいいんじゃない。座って日本酒を出す。スパークリングだけに泡が吹き出すが、これも愉しみのひとつ。まずは一口。泡が細かくなめらかな口当たり。お米の味わいをしっかり感じつつ後に残らない。続いて「みやき神バナナジェラート」。まだ溶けてなかった。国産バナナのほのかな甘さが日下無双と見事にマリアージュ。コース料理のデザートのような味わい。ほろ酔い気分で脊振山を眺めたり、川の流れをぼんやり見つめたり、と極上の時間を楽しむ。

 

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土手を下りて、農道を再び西へ。煉瓦造りの廃墟の脇を歩く。なだらかな上り。未舗装の道は足に優しい。すると神社の裏手に出た。境内に行ってみると本殿のわきに赤い小さな建物があった。宝物殿と書かれている。中に何が入っているのか気になる。自然石が祀らえていた。鳥居の扁額には「物部宮」と書かれている。道は県道と突き当たる。正面には「弓」とだけ書かれた看板。武具店なのかな、とおもったらガラス戸にヘアーサロンと表記してあった。「弓」は名字なのだろう。その後、歩いていると「弓」姓の店舗が複数あることが分かった。ネットで調べたところ「弓」姓は全国に約450人しかいないようで、そのうち140人がみやき町在住だという。

 

 

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少し県道を歩いた後、再び1本北の道へ。地形に寄り添うようにカーブした上り道。苔むした車止めが羅漢さんに見えてくる。擁壁を削ってつくられた階段。すごく急だ。峠を越えて下り道。鮮やかな青い小屋がなぜかマッチしている。下りきったところには池があり、真ん中にお地蔵さんが祀られていた。

 

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池の先の細い道を上ると「中津隈宝満宮」があった。メタリックな扁額がインパクト大!! 境内に入るとシルバーの狛犬!! 対となるもう1体はゴールド!!! もはやガンプラみたいだ。本殿の彩色も鮮やか。神社といえば白木というイメージがあるが、日光東照宮など絢爛豪華なものもある。とはいえメタリック神社は初めて見た。
社殿の奥には前方後円墳があった。

前方部は中津隈宝満神社本殿により削平を受けており、今は高さ約7m、直径約36mの後円部のみが現存しています。表層から確認されている埴輪や須恵器などから、5世紀中頃から後半に築かれたものと推察され、この地方の豪族の墳墓と考えられています。この場所から西の方角に2キロ行った上峰町には応神天皇の皇曾孫、都紀女加王(つきめかおう)王墓があり、関係があるのではないかと言われています。
また、拝殿の東南側には石室が露出している横穴式古墳があり、こちらは5世紀後半から6世紀にかけてのものと推測されています。
みやき町観光情報「みやきsanpo」より引用

境内にぽつんと置かれた石組みもなんだか古墳の一部に思えてくる。

先ほどの「東尾地蔵菩薩=隈の墓」といい、平野に向かって岬状に突き出した部分に古墳や神社が点在している。思想家・中沢新一が「アースダイバー」で描いたように、地形とそこに与えられる役割は古代から現在まで変わらない。平地から上がった岬状の丘のような、見晴らしの良い場所は、古来、神社や墓地などが建てられてきた。そういう視点で街歩きをすると、いろいろな発見がある。

 

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県道に出て、南側の集落を行く。煉瓦をたくさん使っている。手作りっぽいアーチが楽しい。農道に出るとみやき町はここまで。煉瓦と神社と古墳。昔の道に誘われるまま歩いたら歴史の断片を感じた全12234歩、 約9kmの旅だった。そのまま上峰町編へ突入。

その9 上峰編 住宅街の変化を楽しむ

中年男子が佐賀県全20市町をぶらぶら歩く連載の9回目は上峰町編。みやき町に続いて同じ日に連続して攻略してます。

 

 

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まっすぐな道を歩くと、「上峰町」の看板。しばらく行くと畑の先に町役場が見えてくる。上峰町といえば、昨年末、町のショートムービー「鎮西八郎為朝」

のために、あのユニコーンが新曲「TIME-TO-MORE」を書き下ろしたことが話題になっていたなあ。とかなんとか考えながら町役場の前を通過。

 

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良い感じの道に出た。なだらかな上り坂を行くと、飲み屋さんが点在していた。英語表記が親切だ。乗合タクシーの名称が「上峰町のらんかいバス」。”のらんかい”とはかなりフランクな雰囲気だ。
坂を上ると住宅街があった。

 

 

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イナバウアーしている飛び出し注意の女の子。まあ逆向きに設置してしまっただけでしょうが、ちょっと微笑ましい。

 

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古民家の蕎麦屋さんがあった。うまく判別できないが「5と?のつく日ぜんざいサービス」と書いている模様。テンション上がるが定休日…。満開の梅を見ながら蕎麦食べたかったなあ。急にお腹が減りだす。

 

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辻に祀られていたお地蔵様。ミッドセンチュリー的なテキスタイルがナイス。近くにあったも元商店の幕の配色にも同じセンスを感じる。トタンの雨戸の素材感に惹かれる。

 

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道よりちょっと高いところにある神社。扁額を見て一瞬「Z宮」かと思ったが「乙宮」。境内にはダイナミックに跳ねる狛犬がいた。本殿の奥には良い感じの公園があった

 

 

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奥にはパンダ。目つきが悪い。熊要素を強く感じる理由について考える。これ、眼の周りの白い部分が余計なんじゃないかな。実物パンダはほぼ黒眼で、眼のまわりの黒い模様と一体化している。眼が大きく見えて可愛らしく感じるのではないだろうか。なんで可愛くない方向に”盛った”のだろうか?
境内に戻ると謎のサンドアートがあった。オブジェのような丸太も気になる。

 

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境内から見下ろすと良い感じの納屋があった。瓦が表情豊か。今のものは均一な仕上がりなので、こういう味わいはない。屋根が2段になっていて、横の断面を見ると、キリスト教の教会様式で最も古い「バシリカ式」のようになっている。加えて、外壁の木材が横貼りされているので、どことなく洋風な雰囲気が漂っている。

 

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歩いていると、ユニークな名前のアパートに出会う。「Margaret Fill」。どういう意味なんだろう? アパートやマンションの名前で「hill」はよく見かけるが「fill」は初めて。 英語で、満たす、埋める、注ぐという意味だから「マーガレットがいっぱい」となるのかな。でも花のマーガレットはMargueriteなので綴が違う。少女漫画雑誌「マーガレット」の英語表記はMargaretで一緒なのだが、「(少女漫画雑誌)マーガレットがいっぱい」というのはなかなかマニアックな解釈だと思う。そういえば途中に「BL」というアパートがあった。下にBETTER LIFEと書いていたので、なかなか良いネーミングだと思っていたが、別の意味合いが込められているのかもしれない。そんな妄想をするのも散歩の楽しみ。

 

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お店はほとんど見当たらない。このままでは何も買わないまま終わるかもしれない。そんな緊張感を抱いていたら無人販売所があった。とりあえず100円でさつまいもを買う。家に帰って天ぷらにしたら、すごく甘くて美味しかった。

 

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ちょっと時代を経た住宅街には個性的な住宅がある。ギリシアやローマのような円柱が左官仕事でくっついている。和洋折衷の面白いデザインだ。ハウスメーカーも工務店も画一的なデザインが多くなってきた現在、昭和50-60年代の自由な造形に魅力を感じる。

 

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住宅地と農地が交互に現れる。先に見えるのは脊振山。空が広くて心地よい。そろそろ本格的にお腹が空いてきたなぁ。なんとか食べるもの探さないと本当に散歩終わっちゃうよ…と思っていたところに!!

 

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エビフライあります! の大きな看板。エビフライ専門店 EBI研究所 とある。迷うこと無く店内に入ろうとしたら、

 

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入口に「完売」の文字。ソーシャルエビダンス(2m以上)の文字が切ない。スタッフさんに聞いたところ、前日にTVで紹介されたため、午前中で売り切れてしまったそうだ。とほほ。

 

 

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【後日談】
同研究所のインスタ ebieguchisakana でオープン日を確認の上、再訪。オープン時間前から行列ができていた。10数分待って、ようやくゲット!! 揚がるのを待つ間、スタッフさんに気になっていたことを質問。

「上峰のショートムービーの曲をユニコーンが作っていますが、ebi研究所ってユニコーンのベーシストebi(エビ)さんと関係あるんですか?」

「いえ! その事実に気づいたのは最近です! ちなみにエビではなくイービーアイと読みます。エビ以外も取り扱うので」

「制服が、赤い野球ユニフォームなので、てっきりユニコーンも応援している広島カープにちなんでいるのかと」

「それも偶然です!!」

そうこうしている間に出来上がり。さっそく食べる。ぷりっぷり。衣が薄く身がぎっしり。頭もそのままガジガジいけます。これはビールに合うわー。ふるさと納税で大人気なのも納得。近くにあったら毎週通いたい。

とここで時を戻そう

 

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傷心のまま、お店の前の道をトボトボ歩くと、もう隣町に入ってしまう。上峰町は東西に短い。やむなく北上。

 

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やがて大きなコンクリート壁に突き当たる。目達原駐屯地のようだ。ところどころ半透明な窓があり、中の様子がなんとなく伝わってくる。ドローン飛行禁止の張り紙など、基地らしい。

 

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駐屯地境界にあった街灯。木の質感が時間の経過を伝える。さすがにお腹が空きすぎなのでインスタで調べる。国道34号沿いにすごいチャーシュー麺の店を見つける。さらに北上。

 

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溜池を越えていく。行き止まりにぶち当たったりしながら進む。自動車がギリギリ通るかどうかの道を行く。その狭さが時代を感じさせる。

 

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住宅街ごとに出来た年代が違う。この辺りは円柱があった街よりもさらに古そう。縦貼りの木の外壁の褪色具合が良い。

 

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すぐ近くにはバリバリの現代住宅が。50年後にどういう表情をしているのだろうか。
坂を上がり、国道のちょっと手前。大きなセメント工場があった

 

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大きな屋根の下に積まれた型枠がカッコイイ。錆びた質感がなんともいえない色気がある。無造作にスプレーで書かれた文字も良いですね。

 

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ようやく国道34号線に。大きな看板の下に隠れるように小さな建物があった。ラーメンと書かれた幟がまぶしい。道を渡り、赤い暖簾をくぐる。おじさんがひとりでやっている。とりあえず…

 

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ビール! ああ沁みる。ようやくですよ! そして

 

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チャーシュー麺。繊細で優しい豚骨。ビジュアル系チャーシューはバラ肉ではなくロース肉。わざわざ鹿島まで仕入れにいっているそうだ。ようやく落ち着き店内を見回す。

 

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店内には、なつかしいテーブル型ゲーム機があった。コードを繋げばまだ動くという。「高値で買い取りたいという人もいたけどね。テーブル無くなると困るけん、売らんかった」とおやじさん。ところで暖簾にも店内にも店名が書いていない。「国道にでっかい看板があるやろう!!」と言われ、外に出ると、先ほどの大きな看板の一番上に「ラーメン金星」と書いてあった。なんで気づかなかったんだろう。看板の大きさと建物の小ささのアンバランスゆえに瞬間的に関連付けられなかったのか…。

 

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心身ともに落ち着いたところで最後は「吉野ヶ里温泉 卑弥呼乃湯」へ。吉野ケ里温泉だが場所はギリ上峰町。ちゃんと確認しました。店内では歴史を学ぶパネルもあった。1時間くらいゆっくり。

 

 

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お風呂から出るとすっかり夕暮れ。冷たい空気が心地よい。上峰町編は11435歩8.7km歩いた。名所旧跡はほぼスルーだし、お店にもスルーされたが、だからこそいろんな発見があった。

 

▼取材終了後、筆者と担当Mさんとの会話
担当M「時を戻そうって」
筆者「…ちょっと流行りっぽい言葉も入れようかな、と」
担当M「個人的にはどうかと思いますが、まあそれは良いとして。なんだか◯百景みたいな小ネタを集めた感じがしますね」
筆者「でも歩いて楽しいのは、そういう発見があった時なので。みなさんもそういう視点で歩いてもらうとイイな、と」
担当M「まあ名所ばっかり歩いても、すでにどこかにあるレポートと同じになりそうですし」
筆者「ごく普通の風景の中にチラッと見えてくるものに出会うことこそ旅じゃないかと思います」

 次回も乞うご期待!?

その10 鳥栖編 長崎街道 延々とビールを求めて

中年男子が佐賀県全20市町をぶらぶら歩く連載の10回目は鳥栖市を歩く。
ルールは

      • 公共交通機関で現地まで移動
      •  歩く距離はだいたい5km
      • 2021年3月末までに全20市町を散歩する
      • 美味しいものをきちんと紹介する
      • お酒はほどほどなら大丈夫!
      • 基本はぶっつけ本番。面白いものに当たるまで歩くべし
      • 旬の風景を探そう

 

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せっかくなので、第8回みやき編の出発地点だった千栗八幡宮からスタート。JR吉野ケ里駅から西鉄バスの久留米行きに乗車。30分弱で目的地に着いた。前回歩いたら7時間近くかかったのに!! そこから10分少々で町境に。空がどこまでも青く、花々も嬉しくて踊っている。ただ風が強くて、ちょっと肌寒い。

 

 

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お米屋さんがやっているカフェと販売所を発見。カフェに次々と人が入っていく。テイクアウトは販売所で売っているとのことなので店舗に入る。入口に唐箕が置いてある。いろんなお米を希望の精米具合で売ってくれるらしい。ご飯の味を決めるのに品種と同等に大事なのは「精米」。そこにこだわっているなら必ず美味しいはず! 今日はお外でお弁当としよう。数量限定の「福むすびセット」をゲット。

 

 

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県道145号をまっすぐ行くのはつまらないので寄道。トタンが印象的な蔵の窓が空けてある。木戸なのが良い。公民館の横にあるお堂の壁に舟が吊るしてあった。この辺りは周囲の田畑よりも数m高いが筑後川が決壊したら、ここまで浸水するのだろうか。境内には大きな石碑が。かなり歴史のある集落のようだ。

 

 

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県道や脇道を行ったり来たりしながら北上。かつてサガン鳥栖が地獄の朝練をしていた朝日山が見えてきた。雪の降る中、石段を上っていたなぁ。取材だけでもキツかったけど、スタッフのみなさんは暗い時間から来て、凍った路面を溶かしていた。走り終わった後に選手が頂上から監督を大声でいじり盛り上がっていた。なんて考えていたら、いつ間にか細い道に。暗渠の上の一段上がった歩道があった。明かり取りの窓のような穴が空いていたので覗いてみたら水が流れていた。

ところで散歩するときには、いつもドラクエウォークをしながら進んでいる。画面を見たら

 

 

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「長崎街道」の表示が。よし、県境まで長崎街道を行けるところまで行ってみよう。

 

 

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お地蔵さんがある辺りで長崎街道に合流。路面に緑の江戸時代の旅人風のイラストが入った「長崎街道」の案内表示が貼ってあった。これをたどっていけば確実だ。

国道34号を越えて、朝日山にあるゴルフ場の間の道を行く。ここの道は昔からあったんだ!! 峠に良い感じのお堂があり、すでにここでお昼休みをしたかったがアレが足りない。そうビールを売っているところがないのだ。街道沿いでビールをゲットするというミッションが加わった。

 

 

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街道は九州新幹線と交差。何百年時代が変わっても、人と人の動きはここで交わる。越えたところで6mくらいある、かなり大きな石碑があった。「精校之址」と刻まれている。かつて存在した精(しらげ)高等小学校の跡地に卒業生が建てたようだ。

 

 

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周囲はだんだん都市部となっていく。工場の裏側ってあんまり見ないけど、配管などかっこよい。鉄工所側にあった手製のカーブミラー。そのへんにあった部材だけで作っていて微笑ましい。

 

 

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再び国道を渡り住宅地へ。轟宿に入るとまっすぐな道。先に神社が見える。病院エントラスの庇が結構とんがっている。

道を進むと日子神社。ここで休みたいが、ビールは影も形も見えない。

 

 

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ようやく食料品店発見!! わらをもすがる思いで中に入るがアルコールは取り扱いなし。古い街道なのに飲食店もお店もないのは本当に不思議だ。

仕方ないので先へと進む。もうコンビニでも良いからビールを買いたい!!

立派な松が生えているアパート駐車場。きっと立派な屋敷跡地にできたからだろうが、収入を犠牲にしても3本の松を守っている。きっと大事な思い出があるのだろう。蔵造りの商家など、だんだん都心部に近づいてきた感じ。

 

 

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通りから入ったところに秋葉神社があった。普通1対のはずの狛犬がなぜか1体しかいない。ちょっと背中が寂しく感じた。

さらに進むと小さな橋のところで案内表示に「どんどん落て」の文字。どういう意味なのか? そもそもどう読むのか?「おちて」なら「落ちて」のハズだから「落て」は「らくて」なのか? 謎は深まる。

 

 

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JR鳥栖駅に通じる大通り沿いにコンビニ発見!! 駆け込みビールを買う。これで心置きなく昼飲みだっ。

どこか良い場所ないかな?と思いつつ、しばらく街道を行くと、お誂え向きの神社があった!!

 

 

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八坂神社は境内が広く、山笠の倉庫があった。本殿の横にバッチリの小さめのベンチがあった。本日の昼飲みスポットはここに決定!!

 

 

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持参のグラスにビールを注ぐ。まずは一口。いやー沁みますね。一息ついたところで、お弁当セットを開く。経木(スギもしくはヒノキを0.5-1mmの厚みで削ったもの)で包まれている。塩にぎり、鶏ごぼうにぎり、創作にぎりの3種に唐揚げ2個、卵焼き、そして漬物。こりゃビールのお供にぴったりだ。おにぎりはすっかり冷めているのに固くなっていない。きちんと炊き上げた証拠だ。塩にぎりは、そんなに塩を効かせず、米の本来の味を引き出している。逆に創作にぎりは、これでもかっというくらい旨味が強く、ビールの味わいに引けを取らない。なにより漬物がベストマッチ。

落ち着いた心で境内を散策。素敵な歌碑があった。裏の説明板によると、佐賀県文学界に多大な貢献をした豊増幸子さんのものだった。

 

 

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案内表示を頼りにジグザグに街道を進む。再び住宅街へ。個性的な倉庫に眼を奪われる。鳥栖高校の辻にある建物は角が取れていて優しい印象。そこに時間が合っていない時計があった。これを見ながら緒方孝市も向井秀徳(ナンバーガール、ZAZENBOYS)も登校したのかな?

 

 

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長崎街道は田代宿に。江戸時代は対馬藩の領地だった。久光製薬の看板が見えてくる。立派な町家の前で花の世話をしていたおじいさんと話す。「終戦後はこの道を通って長崎から来た米軍にお菓子をもらった」とのこと。おじいさんの背後にある立派な松の枝の先に金属が下がっているのが気になっていたら、笑いながら「綺麗なアーチを作るために重りを付けているんですよ。付けないとまっすぐ伸びてしまうから」と教えてくれた。

 

 

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久光製薬の横の道を行く。野外彫刻がたくさん設置されている。角を曲がると、代官所があった通りに出る。敷石の大きな民家があった。代官所の跡は小学校になっていた。片側1車線の道路は頻繁に車が通る。落ち着かない気分で歩いていく。

通りを数分行った後、長崎街道は直角に曲がる。そこにあったのが

 

 

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この古い商家。2階の窓が洋風になっている。同じような窓は料亭などに多いがここはどういう使われ方をしていたのだろうか? かぜひ中を見てみたい。

 

 

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三差路をさらに細い道へ下っていく。途中、日田・英彦山方面への街道との分岐点である追分石があった。農地や結構古そうな民家の先には長崎道とのアンダーパス。

 

 

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アンダーパス内は一面のグラフィティ。アブストラクトな感じでかっこいいなー。よく見たらクラック点検用らしく文字が書き込まれている。

 

 

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工場地帯にある狭い道を北上。ぽっかりとした空き地に、一本の大きな木が浮かんでいた。某電気メーカーのCMソング(作曲・小林亜星)を思わず口ずさむ。

右手の川の先に威厳のある鉄橋を見つけた。明治22年に完成というから出来てから132年!!! 喜劇王チャップリンやヒトラーと同じ年に生まれている。ちょうど普通列車が走っていった。バリバリ現役です。

 

 

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新しく出来た街と昔からの街が交互に現れる。古い集落では見事な煉瓦壁があった。民家の敷地の多くには小さな祠がある。長い時間、旅人を見守ってきたのだろう。

 

 

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小さな峠を何度か越えて、そろそろ基山町に入るあたり。本日はここまで18332歩。約14kmと、本連載で最も歩いた。といってもこれで終わりではなく、引き続き県境まで長崎街道を歩いていく。

その11 基山編 長崎街道を県境まで。標語ポールが気になる

中年男子が佐賀県全20市町をぶらぶら歩く連載の11回目は基山町を歩く。本連載最長の約14km歩いた第9回鳥栖編からノンストップで基山町の長崎街道を北上し県境を目指す。

ルールは

      • 公共交通機関で現地まで移動
      •  歩く距離はだいたい5km
      • 2021年3月末までに全20市町を散歩する
      • 美味しいものをきちんと紹介する
      • お酒はほどほどなら大丈夫!
      • 基本はぶっつけ本番。面白いものに当たるまで歩くべし
      • 旬の風景を探そう

 

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多分この辺りが町境のはずだけど…。表示も何もないな、と思っていたら庭先で野菜の手入れをするおばあさんがいた。

「ここは基山町ですか」と尋ねたところ、手を止めて「そうですよ。3軒手前から基山です」と教えてくれた。

 

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基山町では手作り案内板が長崎街道を教えてくれる。郷土愛が伝わる。町の花はつつじ、とのこと。鳥栖に続き、新しい街と古い街が交互に現れる。

 

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川沿いの白いポールに「源氏ほたる発祥の地」と書いてあった。後日調べたところ、大正10年(1921)に九州帝国大学医学部が、この川に源氏ほたる養殖場を設置したとのこと。目的は病原駆除や発光細菌の研究素材としてだったらしい。生き物に関することを「発祥」というのは違和感を覚えるが、こんなところにも歴史が埋まっているんだと思うと感慨深い。

「リバー橋」。…まあ問題があるわけでないが何かムズムズする。リバーの範囲が広すぎて特定できない。これじゃ名前にならないのではないか。普通はその川の名前だったり、地区の名前だったり、他と区別できるようなものにするはず。だが「リバー橋」。ざっくりネット検索したが「リバー橋」は出てこなかった。じゃあこれで特定できるということか…。みんなが知っている言葉の組み合わせで、他にはない。「名前」の機能としては最高のものとなる。狙ってやっているとたらすごいぞ基山町民!!

 

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川沿いを歩いていくと、屋根の高い建物があった。ちょっと覗いてみたら、日本酒・基峰鶴の酒蔵だった。事務所は年代物の椅子やレジが展示されていて、歴史を感じる。小さな瓶の清酒などを購入。スタッフの人に基山ラジウム温泉を教えてもらう。基山に温泉があるとは!! 食事もできるらしいので、県境に到達したらそこを目指そう。外には砂漆喰みたいな質感の防火用水。これも良い雰囲気だった。入口にはバンクシー風の鶴のイラストもあり、伝統を大事にしながら、新しいものに挑戦する意識を感じた。

 

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建物の裏には「清酒キホウツル」のロゴが印象的な建物があった。土手に咲いた菜の花が美しい。その側には

 

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「この公園あの道路みんなの税でできている」という標語?が書かれたポールがあった。先ほどの「源氏ほたる発祥の地」のものと同じようなスタイル。鳥栖で何個か見たことあったが、他の町にはないと思う。県東部独自のものなのか?

 

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だんだん建物が密集してくる。道は自然なカーブを描く。店頭の飾り窓の装飾が時代を感じさせる。丁寧な仕事だ。いつの間にか基山駅前に。

 

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古民家をうまくリノベーションしたお店があった。インディゴの暖簾や半纏がカッコイイ。手描きのカレー看板に興味をそそられる。

昔の小学校の木造校舎のような建物が現れた。製薬会社の社屋のようだ。江戸時代、ここは田代宿と同じく対馬藩の領地で「日本四大売薬」のひとつとされてきた。長崎街道を中心に、交通の利便性が良いことが理由らしい。

 

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踏切を渡ると「関屋土塁」の説明板があった。同土塁は663年、朝鮮半島であった白村江の戦いに日本が参戦し敗北した後、大宰府を中心とした一帯を守るために作られた大きな構造物。丘と丘の間を土を固めてつないでいた。現在でも長さ20m、高さ4.8m、段の幅15mほどが現存しているという。1300年前から国際情勢に直結している歴史ある場所を歩いている。

 

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長崎街道は国道3号線と鹿児島本線に挟まれたゾーンを走る。狭い場所なのに手入れが行き届いた畑。列車が数分おきに交差する中、男性が黙々と作業していた。

 

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再び線路をまたぐ。街道は静かな住宅地に入る。屋根を支える「垂木」とよばれる木組が2段ある民家。神社仏閣にはあるが、家ではなかなか見ない形式だ。

釉薬瓦の家。家だけでなく、塀の屋根も赤い。同じ瓦は中国地方で主に使われている。九州では降雪の多い日本海沿岸や山間部にしかない。

 

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道が上りにかかるところで大きな石があった。字がちょっと読みにくいなぁと思っていたら、向かいの民家で世間話をするおじさんがいたので聞いてみた。「猿田彦大神」と書いているという。「坂本龍馬もシーボルトもここを通ったんだよ」とおじさん。

坂を上がってすぐ下る。ここまで導いてくれた基肄(きい)かたろう会さんの長崎街道案内板に「行き止まり」の文字。けやき台駅を中心に大規模に開発されているようで、旧道が途切れているようだ。とりあえず三国境石を目指す。

 

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けやき台駅の歩道橋を下りて、国道3号線を歩く。

 

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国道3号線は長崎本線と並走しながら、九州道と交差する。現代でも交通の要衝だ。先に行くと1954年創業のハンバーグ屋さん。車で走るたびに気になっていたのだが、今回も時間の都合で立ち寄れない。ここは再挑戦したい。すぐそこに基山SAの高速バスのりばがある。高速バスで帰るのもありかと思ったが、ルール上もうちょっと歩かないといけないかな。後ろ髪を引かれながらさらに先へ。

 

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歩道のわきに小さな公園があり、石の標柱が3組置いてあった。それぞれ「肥前国対州領」と「筑前国」と刻まれた石柱1本ずつが背中合わせに置かれている。あれっ? 「三国境石」なのに二国分しかない。もうひとつ「筑後国」もあるはずだが、どこにもない。まぁここが県境であることは間違いないので、次の目的地・基山ラジウム温泉を目指す。

後日、調べたところ、今回確認した石柱は三国境石ではなく「二国境石」。しかも国道拡張により移設されたものだという。「三国境石」は長崎街道のもう少し先に現存しているという。もうちょっと歩けばよかった。

 

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国道3号線の下り側歩道を歩く。流れる川を眺めつつ、小道に入ったら自動車学校があった。さすがに足が張ってきた。砂利道の感触が優しい。

 

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国道から曲がり住宅街へ。ここにも標語ポール。「あかるい子供で  パッと花咲く 本桜」とある。本桜? 一本桜の「一」が消えたのかな、と思い確認してみたが、そんな感じはなかった。しばらく歩いて見かけた掲示板で疑問解消。ここの地区名が「本桜」だったのだ。教育熱心らしく標語ポールをたくさん見かけた。

 

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切り通しの坂を下る。左手に九州道。農地がちらほら現れる。無人販売所を物色していると、帰宅途中らしき女性が土筆を積んでいた。「もう大分育ってしまっているのが多いけど、よく見るとまだ大丈夫なものがありますよ」。お浸しにして食べるそうだ。気がつけば、そろそろ夕暮れ。坂の先に夕日が落ちつつあった。

 

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そろそろ目的地のハズなんだけど…。さ迷って古い集落へ。煉瓦壁やモルタルブロックの小屋、ゆるやかに曲がる道。推水路にはぞんざいに木が渡してあった。

 

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大きなお堂が見えたら、そこが目的地・基山ラジウム温泉だった。さっそく中に入る。柔らかな光に包まれ、ゆったりとした空気が流れる。

 

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サンルーム的な雰囲気のお風呂。開放的で居心地抜群。源泉は冷泉のようで、そのまま張った水風呂と沸かした熱い浴槽の2種類があった。常連さんの振る舞いを真似て交互に入る。サンルームの緑が茂ったコーナーを見ていると、女湯との境に石像が置いてある。気にしつつ近づくと弘法大師さまだった。さすがお寺の温泉。入念に足をもみつつ、お湯を堪能した。

 

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すっかりリフレッシュした後は併設された食事処へ。居酒屋としても営業しているようだ。迷わず生ビールを頼む。いやー最高です。

 

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つまみはおすすめメニューから「佐賀牛中落ち炒め」を選ぶ。野生味あふれる味わいに体が喜んでます。マグロの中落ちは聞いたことあるけど、牛にもあるのか。魚と同じように骨の周りの肉なのだろうか。赤身っぽくてよかった。帰り際、受付のスタッフさんに聞いたが、ここの源泉でコーヒーやお茶を入れると美味しくなるそうだ。じゃ焼酎を割っても? 「そりゃ美味しいですよ!」。…やはり再挑戦だな。

 

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佐賀県内唯一の私鉄 (三セク含まず) である甘木鉄道立野駅 が近くにあるとのことなので、そこから帰ろう。付近は工場が多い。工場の裏にある細い道を辿っていくと、九州道が近づいてきた。

駅のホームは、なんと高速の下!! アンダーパスの中に道路と鉄道が通っている。これはかなり珍しい。会社終わりの人たちがぽつぽつと集まってくる。

 

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しばらく待って、やってきた列車に乗車。約3分で基山駅に到着。トイレに寄って列車を1本乗り過ごすが、後続の快速で鳥栖駅で予定していた列車に追いつく。なんだか都会のようなリカバリー。本数が多い鹿児島本線ならではの展開だ。

 

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鳥栖駅で待っている間に、56番ホームの売店で焼売(しゃおまいと読むらしい)を買う。本当は車内で食べたいが、家まで持ち帰ることに。

基山編は9843歩。約7kmの旅だった。 鳥栖編と合わせた1日合計は約22km!!!!! 長崎街道恐るべし。昔の人はこのくらいの距離平気で歩いていたんだろうなぁ。

 

▼取材終了後、筆者と担当Mさんとの会話
担当M「ようやく予定の半分超えましたね」
筆者「今回はちょっと歩き過ぎましたが、1日2回取材する要領も分かってきました」
担当M「でもあと1カ月ですよ。コロナがあったからって4月以降に延期できませんからね」
筆者「えっ…。まあ最初からそういうルールなんで、週2ペースで行けば大丈夫だと思います!!」

 次回も乞うご期待!?

その12 小城編 煉瓦倉庫での暮らし&須賀神社の石段がしんどい

中年男子が佐賀県全20市町をぶらぶら歩く連載の12回目は小城市を歩く。

ルールは

      • 公共交通機関で現地まで移動
      • 歩く距離はだいたい5km
      • 2021年3月末までに全20市町を散歩する
      • 美味しいものをきちんと紹介する
      • お酒はほどほどなら大丈夫!
      • 基本はぶっつけ本番。面白いものに当たるまで歩くべし
      • 旬の風景を探そう

 

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早朝の小城駅に到着。ちなみに小城駅の住所は三日月町久米。合併する前は三日月町にあったことになる。

クラシカルな駅舎。駅名の揮毫は同地出身の「明治の三筆」中林梧竹。駅前にはいろんなモニュメントがある。与謝野晶子の夫・寛(号は鉄幹)の歌碑があった。これまた同地出身の経済学者・高田保馬との縁で訪れたらしい。門司の港で小城のことを詠むなんて、よほど良い思い出を作ったのだろう。

脱線するが、小城駅といえば世界遺産・厳島神社の有名な海中鳥居である。昭和26年、現佐賀市大和町にあった推定樹齢2000年の大楠を小城駅経由で広島の宮島まで運び、鳥居の主柱にしたという。佐賀市図書館大和館のパネル展示で見たのだが、どこに生えてのか、いつか確かめたい。

 

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今回はまずバスで、最近復活した話題の酒蔵へ行き、そこから小城駅までぶらぶら戻るというプラン。まずは駅前のバス停で待つ。が、予定の時間になっても来ない。おかしいな、と思い時刻表を見ると、乗るつもりの便は通っていないことが分かる。調べたところ、ここから10分ほど北の国道203号沿いのバス停が最寄りのようだ。

通りをぶらぶらしているうちにトイレがしたくなる。バス停の前に市民交流プラザ「ゆめぷらっと小城」があった。午前8時半から開館していて助かった。

 

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落ち着いたところで、昭和バスのりばへ。かなり味わい深い待合室だ。そんなに待たずに佐賀市内へ向かう中極線のバスに乗り込む。

 

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10数分で大地町のバス停で到着。下車して県道48号を少し佐賀方面へ進む。倉庫のある角で旧道に入り小城方面へ戻る。

 

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古い商店らしい建物が残っている。店先には「ワンマンバスの乗降車要領」の説明板があった。昔のバスには運転手さんとは別に車掌さんが乗車していたから、こういう説明が必要だったのだろう。自動運転が現実化するかもしれない時代からすると隔世の感がある。ちょっと気になったのが小さい字で書かれている「准ワンマン」の意味。ワンマンとどう違うのだろうか。

通りには和洋折衷の面白い建物があった。和風建築に縦長窓が印象的な西洋式建物がダイナミックに組み合わさっている。料亭のようなので一度行ってみたい。この通りがかつて賑わっていたことが伝わってくる。

大きな煉瓦造りの煙突があった。目指す酒蔵のものかと思い近づくが、残念ながら駐車場。入口を探す。

 

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辺りをウロウロしてようやく酒蔵にたどり着く。声を掛けたところ、残念ながらお酒はここに売ってない、とのこと。販売は酒屋さんにおまかせしているらしい。家の近くで売っているお店を聞く。後日、買いに行こう。

 

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気を取り直して再び旧道へ。大きな煉瓦の建物があった。手前には手作りらしい遊具のある公園。どうやら自動車修理工場の建物のようだ。事務所の入口で掃除をする女性がいらっしゃったので声を掛ける。中に入れてもらいご主人にいろいろお話を伺う。

この煉瓦倉庫は、元々、酒蔵の米倉庫だったとのこと。ご主人は明治41年(1901)の新聞のコピーを取り出して「当時の小城郡清酒品評会の褒章授与式の記事です。三日月村から、二等に園正宗、三等に寒露、千菊が選ばれています。当時、三日月には3つの酒蔵があったことが分かります」。戦後、倉庫を譲り受け、事務所兼住居として活用しているという、リノベーションという言葉が一般化する随分前からの先駆者だ。「元々倉庫だったので、夏も冬も室温が一定で住みやすいですが、窓が少なくて暗いのが難点です」と笑う。その後、来店したお客さんを交えて少しおしゃべりしてお暇する。最後に事務所に顔を出した娘さんにおすすめのランチを聞いてみた。バスセンターの近くの喫茶店の日替わり定食が良いらしい。行ってみよう。

 

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先ほどの煉瓦倉庫をかつて所有していた酒蔵があった場所。煉瓦が共通項。倉庫から測ると84mくらいある。かなり広い敷地だったことが分かる。

 

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旧道と県道が合流する地点からさらに山の方へ。突き当りにある鳥居をくぐると岡本天満宮があった。スタイリシュな馬の石像が眼を引く。

 

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隣接する岡本薬師堂には江頭源京さんの石碑。どうやら#果樹栽培に貢献のあった人のようだ。

 

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参道に戻らず野辺の道を行くと小城鍋島家の墓所があった。同家の菩提寺というと 星巌寺が浮かぶが、こちら玉毫寺(ぎょくこうじ)には 3代藩主元武(もとたけ)、6代藩主直員(なおかず)、9代藩主直堯(なおたか)の墓所がある。

 

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 竹林を抜けて玉毫寺の本殿脇の道を通る。力強い山門が印象的。ここ玉毫寺は黄檗宗。鹿島編で行った鹿島鍋島家の菩提寺もそうだった。

 

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 蛍の名所として有名な祇園川沿いを歩く。菜の花が咲く水辺に鳥が遊んでいる。のどかな春の日。

 

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ちょっと寄道して川沿いの集落へ。道の細さと生垣 が迷路のような空間を作っている。山際には立派な屋根の農家があった。

 

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再び川沿いの道に合流。須賀神社の前まできた。登ろうかと思ったが急な石段に尻込み。太閤腰掛石 に座り考える。近くの商店でビールを買い、上からの眺めながらの一杯を自分へのご褒美とすることで、なんとか奮い立たせる。

 

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真下から見上げるとほぼ壁 !  石段の幅が狭いくて登りづらい。一歩一歩確実に行く。途中にある鳥居のところで振り返る。転げ落ちそうで怖い。最後は太ももプルプル 、心臓バクバクである。最後はほぼ四つん這いになりながら153段登りきった。

 

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社殿脇の桜は7分咲きくらいか。石段に座って一杯といきたいところだったが、動悸が激しく、ちょっとそんな気分になれない。結局、そそくさ下山。お手水の脇の水路を眺めて心を落ち着かせる。

 

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鳥居前から伸びる細い道から小城駅方向に向かう。道端には恵比須さまがいたり、古い漆喰壁があったり、そこそこ古い道のようだ。

 

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こんもりした木立がある角で左折。木の鳥居が印象的な神社の裏山だった。古い住宅地と新しい住宅地が交互に現れる。ここでなんだか見覚えがある男性を発見。大地町の煉瓦倉庫の自動車工場にやってきたお客さんだ。向こうも気づいた模様。「ここまで歩いてきたの? 大変だよね」と男性。不思議な縁だなぁ。

側溝のわきの細い道を歩いてみる。だんだん飲食店が増えてきた。

 

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ゆめぷらっとの裏あたりで、すごい路地を発見。南方の住宅のような野面積みの石垣。その反対側は煉瓦壁。ところどころ天使の羽のようなちょび髭のような装飾 がある。元々何の敷地だったのだろうか?

 

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勧められた喫茶店到着。なかなか味わいある佇まい。

 

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店内も期待を裏切らない雰囲気。布張りの椅子と年季の入ったテーブル。お客さんも次々入ってくる。喫茶店だからどうかと思いながらビールを注文。キンキンに冷えたグラスを持ってきてくれた。まずは一杯。生き返るわー。

 

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続いて日替わり定食が到着。金目鯛のフライや茶碗蒸し、酢の物、そして奈良漬けの古漬け。まさかのお酒に相性ぴったりなラインナップ!! 大満足です。

 

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食後はコーヒーかソフトクリームを選ぶ。もちろんソフトクリーム。デミタスカップで出てきた。一番底にはコーンフレークが入っていてパフェ風。さすが喫茶店。

 

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小城公園わきの道をJR小城駅まで。映画「男はつらいよ」のロケ地 だった小城高校 。劇中で後藤久美子が通っていた。道沿いの民家の面白い意匠の門柱。左官仕事が光る。桜の名所として知られるが「花見は黙食で」と呼びかけていた

 

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だらだら歩いてしまい想定より遅くなってしまう。列車が来る直前に到着。10896歩で約8km。続いて厳木へ唐津線の黄色い列車で行く。

その13 唐津・厳木編 用水路とともに歩く。最後は岩盤浴でデトックス

中年男子が佐賀県全20市町をぶらぶら歩く連載の13回目は唐津市の厳木を歩く。

ルールは

      • 公共交通機関で現地まで移動
      • 歩く距離はだいたい5km
      • 2021年3月末までに全20市町を散歩する
      • 美味しいものをきちんと紹介する
      • お酒はほどほどなら大丈夫!
      • 基本はぶっつけ本番。面白いものに当たるまで歩くべし
      • 旬の風景を探そう

 

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JR小城駅から黄色い電車でJR岩屋駅へ。先頭に陣取り風景を楽しむ。車窓からは春の息吹が伝わってくる。

 

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岩屋駅に到着。浮きをリサイクルした灰皿 ?に感心。カエルみたいでかわいい。 待合室には小学生からのメッセージ。ゴミが怪獣のように町を滅ぼしにくるイメージか。ポイ捨てはダメ絶対。駅のとなりで営業していた 唐揚げ専門店をのぞく。 1個60円!! お腹いっぱいだったけど、唐揚げは別腹? 注文があってから揚げてくれる。待っている間、「やんぺ」という店名について聞いたら、「友達がつけたんだけど、意味は分からないんだよね」という答え。本当にゆるい。さてどこで食べようか。

 

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とりあえず、駅前の県道350号沿いを多久方面へ歩くことに。道路の脇にそこそこ流れの速い水路が通っている。空き地の奥の水路には石や木が渡してあった。橋というより、石垣が崩れないよう、つっかえ棒にしているみたいだった。

 

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道路に面して、以前は商店街があったようだ。今は厳木バイパスが出来て、そちらが国道203号になったが、かつてここには国道が通っていた。歩道が狭く建物が近すぎて運転していてヒヤっとすることもあった。「のき先注意!!」の看板が往時の雰囲気を良く伝えている。道路からちょっとでもはみ出すと、岸和田のだんじりのように家の一部を壊すことになる。

 

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厳木川にかかる橋を渡る。向こうには唐津線の鉄橋。渡った先には釣り竿を持つ恵比須さま。なかなか立派だ。

 

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脇道があったのでそちらに行く。庭先の花も盛で春爛漫といった趣。児童公園の桜もそろそろ見頃、このベンチでゆっくりお酒を飲みながら花見したい。

 

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峠道を上る。小さな土壁の建物。たぶん昔のトイレだろう。かつては家から独立して配置することが多かった。道のわきに良さそうな森があった。春日神社。石段を上る。境内はぽっかりと広場があった。ここで唐揚げを食べよう。

 

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60円なのに一般的な唐揚げより大きい。一口じゃ食べれないくらいだ。ニンニク臭くないが、生姜が効いていて満足感がある。途中でお店がなかっためだが、ビールを買えなかったことが悔やまれる。

 

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坂の途中の墓地に「旅」という墓碑銘があった。こうやって歩いているのも「旅」だし、毎日同じ場所を通っても、ちょっとした変化に気づけば、それは「旅」だと思う。そういう気持ちで日常を旅したら楽しいだろうなぁ。

峠を越えると竹林があった。日陰に清冽な風が吹く。心地よし。

 

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集落に行き着く。小さな路地を進む。竹を編んだ垣根が風流。川の手前に出る。

 

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道路わきの水路に「プライベート橋 」があるなぁと思いながら進むと看板があり、「町切(ちょうぎり)の水車」 と書いてあった。引き返して水車を探そう。

 

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公園に水車の写真があった。町切の水車は江戸時代に出来た用水施設。上流の堰で厳木川から取水した用水路の水を、さらに高い位置にある田んぼに揚げるために水車を使っているという。

先ほど見た田んぼの先まで確認してみる。それらしき設備はあったが、水車本体はなかった。洪水で流されたのかな、と思いつつ、水路をさかのぼっていく。

 

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水路は堰で厳木川と分離している。時代時代に改修していると思うが、原理はきっと江戸時代から同じ。先人の知恵と努力に敬意を払いたい。

 

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見上げると唐津線の鉄橋があった。存在感のある石造の橋脚。こちらもかなりの歴史を重ねているようだ。

 

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県道に戻りしばらく歩く。箞木(うつぼぎ)小学校の前の歩道橋。県道とJR唐津線をまたいでいる。ちょうど 唐津方面から列車が来た。

 

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厳木駅 で待ち合わせていた黄色い列車が逆方向からやってきた。徐々に大きくなるディーゼル音が良い。

 

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小学校の校庭で授業。線路沿いは菜の花がいっぱい。川を渡って山裾の集落へ行く。散歩する住民さんとすれ違う。世間話をしながらゆっくり歩いている。空き地にいたヤギものんびり草を食べていた。

 

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道端にあまり見たことない紅白の桜が咲いていた。再び橋を渡り、線路側に戻ると、厳木駅の構内に煉瓦造の塔が見えた。近くに行きたくてあぜ道を通るが、水路があり行く手を阻まれる。仕方ない。回り込むことになるが駅まで行こう。

 

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厳木駅の改札口の先には桜の木々が見える。満開になったらきっと綺麗だろうな。ホームからは例の塔が良く見えた。待合室に説明板があった。塔は蒸気機関車時代の給水塔だった。厳木と多久間にある笹原峠を越えるため、ここでの補給が必要だったらしい。給水塔は昭和5年(1930)築の駅舎とともに、竹中直人監督作の映画「東京日和」に登場している。

 

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駅前を散策。コンクリート造の古い倉庫の上部は飛び込み台みたいな板がせり出している。どういう役割があるのだろうか? 集落の奥を流れる水路。そのまま辿っていく。

 

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歩行者と自転車の専用道路になっている。脇には水路がつながっている。こういうサイクルロード的なものは国鉄佐賀線跡のように、廃線跡を活用するケースが多いようだが、ここに鉄道が通っていた可能性は低い。元はなんだったのかな?と考えながら歩く。道幅は狭くなり、最後は完全に暗渠となっていた。どうやら用水路が元々あって、それを通路として活用したみたいだ。岩屋駅前から始まり、町切、そして厳木と常に用水路が通っている。

 

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用水路をさらにたどる。花盛りの道。ちょっと雅な香りがしている。道は神社の境内に突き当たる。ここの桜もそろそろ満開といった雰囲気。花見をすると良さそうな場所だ。

 

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県道沿いを歩くとなにやら立派な石の門柱。車寄せ付きの洋風建築があった。病院だろうか、学校だろうか。県道をわたり、踏切を越える。

 

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水路わきに飛び出し坊や。なぜか道路と反対側を向いている。まるで花見をしているみたい。くねくねした道を歩く。

 

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牧瀬の鉄橋で西唐津行きの列車と遭遇。すごく近くで見れる。ここも石造の橋脚だ。牧瀬地区をぶらぶら。公民館の建物。結構古そう。

 

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佐用姫の湯に到着。男性も岩盤浴ができるということで初体験。新陳代謝アップの効果があるとされる角閃石の上に横たわる。良い汗をかいた。

 

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湯上がりに温泉の前にある食堂へ。まずは生ビール。一気にゴクゴク。ちょっと落ち着いたところで、店内で大相撲中継を見ていたおばあさんと話す。

「ご贔屓の力士はいらっしゃるんですか?」

「誰っていうのはないねぇ。調子の悪い方を応援するよ」

 

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まずは鶏皮炒め。コショウと玉ねぎの甘さが抜群のハーモニー。さらのニラレバ。甘めの味付きがやみつきになる。たまらずハイボールを注文。うーん極楽。ちょっと時間があったので、気になっていたことを店の人に聞く。

「町切の水車がなかったんですが、洪水かなんかで流されたんですか?」

「いや、あれは田んぼに水を入れるときに組み立てるようになっているんだよ。今は水を抜いているから外しているんじゃないかな」

なるほど!! 田植えの時期に見に来てみよう。

 

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食堂の前にある昭和バスのバス停から多久行きに乗る。厳木編は9555歩。約7km。一日計15kmだった。  

▼取材終了後、筆者と担当Mさんとの会話

担当M「…前回から2週間空いてますよね」

筆者「前回の鳥栖基山編で20km以上歩いたのが響いて、しばらく筋肉痛になってしまいまして…。雨が多かったのもあって取材が予定どおり進みませんでした」

担当M「残り半月で7市町大丈夫ですか?」

筆者「週2ペースでいければバッチリです!!」

担当M「前回も同じようなことを聞いた気がします…。本当に大丈夫かな…」

 果たして3月末までに全20市町歩き終わるのか?次回も乞うご期待!?

佐賀県 地域交流部 交通政策課
 TEL:0952-25-7525